TiaRabbit❤ティアラビット

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1巻「カラヴァル(Caraval)」&2巻「レジェンダリー(Legendary)」の二次創作(FanFiction)です。
原作小説1巻「カラヴァル」の5章〜6章あたりの内容を、時系列に沿って創作しています。

※ネタバレ要素があるかもしれないので、ご注意ください。
※スマホのブラウザ設定で“PC版表示”や“デスクトップ版表示”にするとPC版表示になり、スマホのオーバレイ広告が消えます。


*Screens Shot*Sims3
1巻「カラヴァル」&2巻「レジェンダリー」の簡単説明。
*ゲームマスター:レジェンドが主催するカラバルというゲームの勝利者は、1つだけ願いを叶えてもられえるというもの。

1巻「カラヴァル」
優しいフィアンセの伯爵と、危険な香りのする船乗りの2人の男。2人間で揺れるスカーレットの恋心。

2巻「レジェンダリー」
冷酷な次期国王と、黒い翼を持つミステリアスな男。認めたくないテラの恋心。

*「カラヴァル」シリーズ*二次小説カテゴリー(各エピソードもくじ)*


*1巻「カラヴァル(Caraval)」ステファニー・ガーバー著の概要・登場人物・あらすじ・感想 ページはこちら。
*2巻「レジェンダリー(Legendary)」ステファニー・ガーバー著の概要・登場人物・あらすじ・感想 ページはこちら。

※「カラヴァル(Caraval)」1巻の二次創作です。
※本編ネタバレ要素があるかもしれないので、ご注意ください。
※気になる方は、ステファニー・ガーバー著「カラヴァル 」第1巻を先に読むことを、おすすめします。
※本編を読んでいなくても、読めるとは思いますが、本編を読めばわかりやすいと思います。
※何度も読み返して検証してはいない為や、解釈の違いによって、本編設定と微妙に異なっているかもしれません。
※本編は全3巻のうち2巻まで発行されていないので、2巻までの内容から二次創作しています。
※非商用ブログの二次小説です。
※本編のイメージが崩れないようには描いていますが、元々二次創作が苦手な方は、見ない方がいいと思います。

Refernce:
*「カラヴァル(Caraval)」ステファニー・ガーバー著、西本 かおる訳
*「レジェンダリー(Legendary)」ステファニー・ガーバー著、西本 かおる訳

※この創作は、2018.10月時点に作成されたものです。
※原作は、エランティン朝という独自の暦ですが、19世紀のような舞台設定になっています。(現代の思想と異なる部分があるので、19世紀が舞台となっていることを考慮してください。)


〔エピソード14「ピンクの海と緋色のクリムゾン」〕














〔Chapter1「ピンク色の海」〕

ジュリアンは、テラを先にカラヴァルの島ロス・スエニョス島の浜辺に連れていくと、再び小船で碇泊させてあるガレオン船に戻った。

ジュリアン:
ガレオン船の船室のベッドの上で、薬で眠りについているスカーレットは、毒リンゴを食べて眠りに落ちた白雪姫か、糸車の針によって深い眠りに入った眠り姫のようだ。

俺は、彼女を島のカサビアン時計店まで連れて行くまでの役割。

それで彼女とは関わりはなくなる。
そう思うと、少し船内の空気が薄くなったように苦しくなった。

そして、また俺は再度“彼女も他の者と同様に、我を忘れカラヴァルに興じる。それが人間の性だ。そして自分を見失って行く。兄のように。。。”と言い聞かせ、深く息を吸った。



ジュリアンは、ブランケットごとスカーレットを包み込み抱き上げ、小船に乗せた。

ジュリアンが小船に乗せた時、スカーレットが少しだけ動いたように感じた。

そろそろ眠り薬の切れる頃だ。

眠るスカーレットを小船に乗せ、ジュリアンはロス・スエニョス島の浜辺に向かいオールを漕ぎはじめた。

ロス・スエニョス島海域の海はレジェンドの魔法で、様々な色に変わる。
今の色はピンク色で、太陽の光が当たっている部分はパステルピンクだが、深海になるに連れてデープピンクになり、ターコイズブルーの渦が点々とあり、ジュリアンは、その色にむせかえりそうになる。

ピンク色で軽いイメージにも関わらず、その海水は硬く重い感じがする。
テラを浜辺に送る際は、そんなにオールを重く感じなかったのに。

スカーレットを乗せていると、重責のようなものが、オールにのしかかっているような気がした。



〔Chapter2「緋色のクリムゾン」〕

スカーレットが起きそうになっている。
ゆっくりと長い睫毛のまぶたを開けヘーゼル色の瞳を見開いたスカーレット。

すると、いつも寝ているベッドとあまりにも違う視界に驚いた様子で上体を起こした。

驚きのあまり、不安定にグラグラと揺れる小船の上で、立ち上がりそうになったスカーレットを、ジュリアンが「危ないぞ。」と言って、手を伸ばして抑えた。

やっと自分がどこにいるのかわかったスカーレットは、とっさにしゃがみこみ小船のヘリを両手で掴んだ。

辺りを見回すと見知らぬ海で、見知らぬというよりも見たこともないようなピンク色の海だった。

スカーレットは、自分が薬で眠らされたことを思い出す。

スカーレット:「私、どれくらい眠っていたの?」

スカーレットは、目の前にいるジュリアンに、薬を含んだ布を顔顔に押し当てられ、最後にテラが「こうすることが一番なの。」と言っていたところで記憶が途切れていた。

ジュリアンは、スカーレットに水しぶきがはねないように、そっとオールを漕いでいる。

でも、その姿はスカーレットには、妹と共に無謀なことをしたのにも関わらず、涼しい顔をしているように映り、そして前にも増して怪しげな狼のように見えた。

スカーレットは、自分が忠告し断ったのに、何も知らないジュリアンが、テラと加担し無理やり、こんな所へ連れてきたことに一気に腹が立った。

スカーレット:「けだもの!」

ジュリアン:「いてっ!なんだよ。」

スカーレットはジュリアンの顔に平手打ちをしてしまった。

思わず、自分のしたことに驚いたスカーレットは、即座にジュリアンに謝った。

ジュリアンの頰はスカーレットの手の形で赤くなり、スカーレットには彼の顔全体が怒りで赤くなっているように見えた。

スカーレット:「ごめんなさい。そんなつもりじゃ。・・・」

ジュリアン:
スカーレットに思いっきりひっぱたかれた。
彼女が俺を叩くのも無理はない。
薬で眠らせ、無理やり連れてきたんだから、彼女からしてみれば、俺は誘拐犯だ。

叩かれたことに怒りを覚えたわけじゃなかった。
感情的にスカーレットが俺を叩いた後、我に帰ったのか、それとも父親に受けていることへの習慣からなのか、彼女は怯えながら俺に謝っている姿を見て、あの娘たちに暴力を振るうドラグナ総督が脳裏をよぎり、彼への怒りの感情が湧いていた。

もう服従することが当たり前と化しているスカーレットの様子が垣間見れ、俺は娘をこんなにも怯えさせる父親に嫌悪した。

ジュリアン:「怖がらなくていい。女は殴らないから。」

ジュリアン:
わざわざ、こんな当たり前のことを口に出して伝えないと彼女を安心させられない状況にも腹が立つ。

スカーレット:「...まさか、薬で眠らされるなんて思っても見なかったから。。。きっとテラが言い出したの、、、あっ!」

スカーレット:「テラは、どこ?!」

スカーレット:「テラに何かしたら許さないから!」

ジュリアン:「落ち着けよ。クリムゾン。」

スカーレット:「私の名前はスカーレットよ。」

ジュリアン:「同じようなもんだろ。テラなら大丈夫。先に島に着いてる。あそこで会えるさ。」

ジュリアンは、そう言いながらオールで前方に見えるロス・スエニョス島をさした。

スカーレットの目の前には、エメラルドのようにきらめく木々と高い山から注ぐ虹色の滝。その滝でできた綿飴のような雲に、七色に輝く霧の粒が降りかかるカラヴァルの島が広がっていた。

さっきの妹テラと同じように、幼い子どものように目をキラキラさせながら、その風景を眺めるスカーレットにジュリアンは、少し笑いそうになった。

ジュリアン:「逆に、ここまで眠っていられたままでよかったんだぜ。ここよりも前の風景はこんないい眺めじゃなかったから。」



〔Chapter3「薔薇に棘」〕

スカーレット:
幼い頃から何年もの間、夢に見ていたカラヴァル。
私は、自分の意志ではなかったもののカラヴァルの島ロス・スエニョス島の幻想的な光景に魅了されていた。
そして、カラヴァルのチケットに書いてあったレジェンドの言葉を思い出した。

*****

遅れた方はゲームに参加できません。今年はゲームの勝者には、賞品として願いをひとつ叶えてさしあげます。

*****※1

あの島の美しさと、カラヴァルへの期待に心を奪われそうになったが、今はそんなことを考えている場合ではなかった。

私には父が決めた婚約者と数日後に結婚式を控えているのに、さらに勝手に島を抜け出したりしたことが父にバレでもしたら、どんなに恐ろしいことになるか。

それに、美しいものは人を惑わす。
そのいい例が、私の目の前にいる彼だ。

妹のテラは、アイキャンディになるような美しいものが大好きだ。
妹の厳しい審査に合格でもしたような美しい顔立ちと、長い手足にちょうど良く筋肉がついた均整の取れた体型。

ニヤリと狼のように笑うジュリアンは、若い娘をさらうくらい日常茶飯事といわんばかりに、悠々とオールを漕いでいる。

薔薇に棘ありを、まさに体現したような若者だった。

スカーレット:「テラがあの島にいるって、どういうこと?」

ジュリアン:「この小船は一度に2人しか運べないから、先にテラをあの島に置いてきて、君を連れて来るために、もう一度戻って来たんだ。お礼ならいいさ。」

スカーレット:「お礼なんてしないわ。私は連れて来てなんて頼んでないわ。」

ジュリアン:「へー。そう言う割には7年間もラブレターを送り続けたらしいじゃないか。レジェンド様にさ。」

スカーレット:
ジュリアンのその言葉に、頰が熱くなるのが自分でもわかった。
そのことは、テラと私だけの秘密なのに。

それにジュリアンがレジェンドのことを話す時のあざけりや皮肉混じりなニュアンスに、自分がバカみたいに思えて来た。

何年も空想に浸って子どものように、おとぎ話がいつか現実になりハッピーエンドになると、ついこの間まで心の奥底で信じていた自分が一気に恥ずかしくなった。

頭では現実はおとぎ話のようにはならない。と理解していたつもりなのに、心が追いついていなかったことに、今気付かされたみたい。

ジュリアン:「恥ずかしがらなくていいさ。レジェンドは魔法で歳を取らない。自分の魅力を熟知し、人を魅了する術を知ってる。若い女の心を奪うのは彼にとって簡単なことだって噂だ。」

スカーレット:
彼は私を慰めてるつもりなのか、貶めているつもりなのか、わからないけど、私はその“レジェンドに心を奪われる。簡単な若い娘”と言われているような気がして、なおさら恥ずかしくなった。

スカーレット:「あの手紙はレジェンドへのラブレターなんかじゃないの。私はただ彼の魔法が見たかっただけ。」

ジュリアン:「じゃあ、なんですぐそこまでのところにカラヴァルがあるのに諦めるんだ?」

ジュリアン:
大抵の人間は、カラヴァルに行きたがる。
彼女も本心では行きたいはずだ。

そして彼女も他の奴と同様、カラヴァルに興じ、我を忘れ、他の奴を押しのけて、欲望のままに無我夢中でレジェンドからの褒美を追い求めるはずだ。

“スカーレットも、他の奴らと同じように全てを忘れ自分勝手にカラヴァルに興じる。”と。。。

俺は、ずっと自分に、そう言い聞かせている。

ガレオン船で彼女が深い眠りについて頃から。

スカーレット:「妹から何を聞いてるか、わからないけど、小さい頃はカラヴァルに憧れて行ってみたいと思ってた。だけど、あなたも父の恐ろしさを見たでしょ。私の今の願いは、妹と安全に暮らしたいだけなの。」

ジュリアン:「その安全策ってやつが、父親が決めたどんな奴かもわからない男と政略結婚するってことか?随分とお粗末な策だな。」

スカーレット:「私の婚約者は良い人よ。何も知らないのに知ったようなことを言わないで。それに妹のことだって何も知らないくせに。」

ジュリアン:「ああ、テラのことは、よく知らないさ。それはそっちもなんじゃないか?」

スカーレット:
ジュリアンがテラのことを“テラ”と呼んでいて、心臓がドクっと低く鼓動した。
あの酒蔵のテラと彼の親密な光景を目の当たりにしていたし、行きずりの彼氏とは言え当たり前なのに。

そして一拍おいて怒りのようなものがこみ上げて来た。
姉の私より、たった数週間遊んだだけの男の方がテラのこと理解しているみたいな口ぶりだったから。

ジュリアン:「妹はカラヴァルに“行きたい。”と言っていたのに無視して中止にしようとした姉に。“行かない。”と言った姉を無理やりカラヴァルに連れて来た妹。お互い逆に通じ合ってるな。」

スカーレット:
私は、何も言い返せなかった。
確かに彼の言う通り私はテラの意見を無視し、そしてテラの方が私よりも一枚上手だった。

しばしの沈黙の後、スカーレットが、ぽそりとつぶやいた。

スカーレット:「・・・テラは、何かあると“死んだ方がマシ。”って口ぐせみたいに言うの。」

ジュリアンはオールを漕ぐ手を止めた。

ジュリアン:「・・・テラのことをはよく知らないけど、あの子が死にたがっているようには見えない。それにその言葉は“生きたい。”の裏返しさ。」

スカーレット:「どういう意味?」

ジュリアン:「悪いように捉えないでくれ。大体の奴は生きたい。と思う。だけど、辛いことが自分に降りかかって自分の力では、どうにもできない時、“死”という選択肢を作っておくと八方塞がりの状態から抜け出せる。だからまだ大丈夫だ。って言い聞かせて自分を保っているんだと思うんだ。死を身近に感じてるけど、それ以外の方法で自分の置かれている悪夢から抜け出せるいい方法があるとしたら、そっちを選ぶと思う。」

スカーレット:「・・・テラにとって、それがカラヴァルってこと?」

ジュリアン:「彼女の真意まではわからないけど、君が父親さんの決めた婚約者との結婚で活路を見出そうとしているように、テラもカラヴァルで新しい二人の道を切り開こうとしているんじゃないか?」

スカーレット:
なんで私がいつも心がえぐられるようなテラの「死んだ方がマシ。」という口ぐせのことを彼に話したのか自分でもわからなかったけど、彼からの返答は、それを後悔させるものではなかった。

スカーレット:「・・・でも、カラヴァルはゲームよ。ひとときのゲームに安全な暮らしを託すなんて危険だわ。」

ジュリアン:「そんなにあのトリスダ島に戻りたいなら引き返してもいい。あそこに安全な暮らしがあるとは思えないけど。」



〔参考文献、注釈等〕
※1:ステファニー・ガーバー著書「カラヴァル」より引用。
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